LOGIN噂というのは、水のように低いところへ流れる。
そしてある程度溜まると、今度は高いところへ逆流する。ルシェムで石鹸と薬草薬が広まり始めてから二ヶ月。エリナの名前は市場の主婦たちの口から隣町へ、隣町から街道沿いの宿場へ、宿場から行商人の荷馬車へと乗り移って、気づけば王都の商人ギルドの耳にまで届いていた。
エリナはそれを、グレンから聞いた。「王都から来た男が、お前のことを聞いてたぞ」
朝の市場で声をかけてきたグレンの表情が、いつもより硬かった。エリナは手を止めた。
「どんな男?」
「商人とは言ってたが、目つきが商人じゃなかった。聞き方が妙に細かくてな。お前が何を作ってるか、誰と一緒にやってるか、家族はいるか——そういうことを」エリナの頭の中で、何かが静かに警戒音を鳴らした。
「その男、今もいる?」
「昨日の夕方に馬車で帰ったよ。でもな——」
グレンが声を落とした。「馬車に紋章がついてた。見覚えのある紋章だ。クロヴェルの家紋だった」
エリナは表情を変えなかった。
意識して、変えなかった。 家に戻って、台所に座った。 母はまだ仕事に出ていた。部屋には誰もいない。 エリナは膝の上で手を組んで、静かに考えた。クロヴェル家がこちらの動きを把握した。これは想定より早い。エリナはまだ七歳で、商売の規模もルシェム周辺に留まっている。脅威と判断するには小さすぎるはずだ。
では、なぜ今、動いた。 可能性は二つ。一つは、アッシュフォードという名前に反応した。もう一つは、魔法なしで衛生状態を改善しているという報告が何らかの形でクロヴェルの耳に入り、その背景を調べた。 どちらにせよ、結論は同じだ。 見られている。 前世のエンジニアとしての習性が、リスク評価を自動的に始めた。現状の脅威レベル、取れる対策、最悪のシナリオ。 最悪のシナリオ——クロヴェル家が母の存在を使って圧力をかけてくる。 エリナの胸の奥で、冷たいものが動いた。怒りではない。恐怖でもない。もっと静かで、もっと根の深いもの。お母さんには、絶対に傷をつけさせない。
その日の夜、エリナはマリオを呼んだ。 路地の隅に二人で座って、声を落として話した。「クロヴェルの人間が調べに来た。今後、私たちの動きを誰かに聞かれても、答えなくていい」
マリオが眉を寄せた。
「クロヴェルって、あの大貴族の? なんでそんなところが」
「私の家を潰した家だから」短く答えた。マリオが黙った。エリナがその話を自分からしたのは、初めてだった。
「……知ってたのか、それ」
「ずっと知ってた」 「それで商売始めたのか」 「それだけじゃない。でも、理由の一つではある」マリオがしばらく地面を見ていた。それから顔を上げた。目に、珍しく真剣な光があった。
「俺に何かできることがあるか」
「ある。今日から、見慣れない人間が町に来た時は教えて。グレンさんにも同じことを頼む。商売の話を聞きに来た人間には、私が直接対応する。お母さんには近づけない」 「わかった。他には?」 「今のところはそれだけ。でも——動くかもしれない。近いうちに」 「どこへ」 「王都へ」マリオがまた黙った。今度は長い沈黙だった。
「一緒に行くよ」
「危ないよ」 「知ってる」 「お父さんに怒られる」 「説得する」エリナはマリオの顔を見た。七歳の子どもの顔だ。でも目だけは本気だった。
この人は、本当に律儀だ。「……ありがとう」
マリオが少し照れたように頭を掻いた。
翌週、二度目の使者が来た。 今度は調査ではなかった。市場の入り口に、上等な馬車が止まった。御者が二人、供が一人。そして馬車から降りてきたのは、二十代半ばほどの男だった。
整った顔立ち。仕立ての良い上着。腰に魔法師の証である銀の留め金がついたベルト。すべてが「貴族」と書いてあるような存在感だった。 男はまっすぐエリナの元へ歩いてきた。 エリナはマルタの店の前で豆のペーストの補充をしていた。男が近づいてくるのを、ずっと視界の端で追っていた。逃げなかった。逃げる必要はない。「エリナ・アッシュフォード嬢か」
男の声は穏やかだった。丁寧だった。でもその穏やかさの下に何があるか、エリナにはわかった気がした。
「そうです」
「私はダリウス・クロヴェルという。父がかつてお父上と同じ宮廷に仕えた。ご挨拶に伺った」周囲の視線が集まってきた。貴族がルシェムの市場に来るのは珍しい。ましてや子どもに話しかけている。
エリナは籠を持ち直して、ダリウスを正面から見た。 整った顔だ。笑っている。でも目が——少し違う。笑い方と目の動きが、微妙にずれている。この人は今、何かを測っている。「ご丁寧にありがとうございます」
エリナは礼儀正しく返した。 「でも私は今、仕事中ですので」 「ああ、邪魔をするつもりはない。少し話せないか。時間は取らせない」断る理由を作れない言い方だった。計算された言葉の選び方だ。
エリナは頷いた。市場の端、人気が少ない場所でダリウスと向き合った。
近くで見ると、年齢は十六か十七くらいだとわかった。整った顔の中に、どこかまだ少年の名残がある。でも目だけは大人だ。「噂を聞いた。魔法を使わずに石鹸と薬草薬を作り、町の衛生を改善していると。素晴らしいことだと思って、直接会いに来た」
「ありがとうございます」 「どこでそのような知識を」 「自分で考えました」 「七歳で?」 「年齢は関係ないと思います」ダリウスがわずかに目を細めた。エリナの答え方を測っている。エリナはその視線を正面から受け止めた。
「うちの父が、あなたに興味を持っている。才能ある人間を支援したいと言っている。もしよければ、王都で活動する機会を作れるかもしれない」
これが本題だ、とエリナは思った。
支援。美しい言葉だ。でも「クロヴェル家の管理下に入れ」という意味でもある。エリナがどれだけの知識を持っているか、何を考えているか、近くに置いて監視する——あるいはその知識を取り上げる。
どちらにせよ、受けてはいけない話だ。
でも——断り方を間違えると、別の手段を使ってくる。 エリナは少し考えてから、答えた。「とても嬉しいお申し出です。ただ、今は母の体調が優れず、離れることが難しい状況で」
「お母上が? それは心配だ。治癒魔法師を手配することもできるが」 「ご好意はありがたいのですが、母は見知らぬ方に診ていただくのを好みませんので」ダリウスが微笑んだ。
「そうか。では落ち着いたら、また話を聞いてほしい」
「はい。その時は是非」社交辞令を社交辞令で返した。ダリウスはそれを知っている。エリナも、ダリウスが知っているとわかっている。それでも二人は笑顔のまま、会話を終えた。
ダリウスが馬車へ戻りながら、一度振り返った。
「アッシュフォード嬢」
「はい」 「お父上は、優秀な方だったと聞いている」エリナは表情を動かさなかった。
「存じております」
「ではまた」馬車が走り去った。御者が鞭を入れる音が遠ざかる。石畳の上に、蹄の音だけが残った。
その夜、エリナはなかなか眠れなかった。 天井を見上げながら、ダリウスの目を思い出した。あの目は——単純な悪意ではなかった。それが、むしろ厄介だとエリナは思った。純粋な悪意なら、対処法は単純だ。でも、複雑なものを抱えた人間は、行動が読みにくい。
お父上は優秀な方だったと聞いている。
あの言葉の意味は何だ。 揺さぶりか。それとも——本当に何か知っているのか。 エリナは目を閉じた。前世の記憶の中から、交渉の原則を引っ張り出す。情報が少ない時は、動かない。動く前に、もっと知る。
今のエリナに必要なのは、クロヴェル家の内側の情報だ。表向きの動きではなく、宮廷での立ち位置、父親との関係、ダリウス自身が何を考えているか。 それを知る方法が、一つある。レイン。
王立魔法学院の生徒で、王都を知っている。情報を持っているかもしれない。
次に会った時に、聞いてみよう——エリナはそこまで考えて、少し止まった。 次に会った時、というのを今、自然に考えた。 それが何を意味するかは、考えなかった。考える必要もないことだと判断した。 ただ、消毒液の完成を、少し急ごうと思った。それだけだ。
それだけのことだ。 ランプも消えた暗い部屋で、エリナはようやく目を閉じた。フィオナがルシェムに来たのは、謁見から二週間後のことだった。 予告なしだった。 朝、市場から戻ったマリオが、息を切らして事務室に飛び込んできた。 「フィオナさんが来た」「どこに?」「市場の入り口。馬車で来てる。荷物が多い」「荷物が多い?」「トランクが二つある」 エリナは少しだけ止まった。 「泊まりではなく、しばらくいるつもりですか」「そういうことじゃないか? 迎えに行くか?」「行きます」 市場の入り口に着くと、フィオナが馬車の横に立っていた。 久しぶりに、ルシェムで見るフィオナだった。 王都で会った時とは少し違って見えた。服装は変わらないが、顔が少し違う。 疲れている、と手紙に書いていた。 確かに、少し疲れた顔をしていた。 でも、エリナを見た瞬間、目が変わった。 「来た」「来ましたね、予告なしで」「予告したら、準備されすぎると思って。あなたのことだから、部屋を完璧に整えて、食事まで用意して待っていそうだから」「そうしようとしていました」「でしょう。だから、言わなかった」「荷物が多いですね」「しばらくいようと思って」 フィオナが少しだけ声を落とした。「王都からの仕事は、手紙でできる部分も多い。しばらくルシェムで動きながら、こちらの空気も吸いたかった」「どのくらい?」「一週間か、二週間か。決めていない」「決めなくていいです。いたいだけいてください」 マリオが荷物を運んでくれた。 フィオナが見ると、少し驚いた顔をした。 「マリオ、大きくなった?」「なってないと思うけど、フィオナさんが久しぶりに会うから大きく見えるだけじゃないか?」「そうかもしれない。でも、なんか違う。顔が違う」「どう違う?」「前より、落ち着いた顔をしてる」「そうかな」
翌日から、エリナは動き始めた。 といっても、急いでいるわけではなかった。 落ち着いて、一つずつ。 謁見の翌日以降に何をするかは、帰り道の馬車の中でゴードンと話し合っていた。 優先順位は決まっていた。 一つ目、商会の代表変更の正式書類を処理する。二つ目、各町の現場責任者に謁見の結果を報告する。三つ目、フィオナと連携して規制案の継続審議への対応を続ける。四つ目、学院の衛生教育の検討に、商会として協力できることを提示する。 どれも、急ぎではない。 でも、止まってもいない。 まず、商会の代表変更の書類が届いた。 アルバ殿下が約束した通り、一週間以内に書状が来た。 正式な書類に、エリナ・アッシュフォードの名前が入っていた。 アッシュフォード商会の代表者、エリナ・アッシュフォード。 ゴードンがその書類を机の上に置いた。 「これで、正式になりました」「そうですね」「どういう気持ちですか?」 エリナは少しだけ考えた。 「思っていたより、静かな気持ちです」「静か、とは」「もっと大きな感情が来ると思っていた。でも、静かだった。当たり前のことが、形になった、という感じです」「それが、正しい感覚だと思います」ゴードンが静かに言った。「当たり前のことを積み上げてきたから、当たり前に形になった」「ゴードンさん」「はい」「代表名義をずっと引き受けてくれていた。本当にありがとうございました」「礼はいりません。でも、受け取ります」 それだけだった。 それで十分だった。 次に、各町の現場責任者への報告をした。 マグダ、シェナ、ジルカに、それぞれ手紙を書いた。 謁見の結果。陛下が約束を守ってくれたこと。商会の活動が引き続き認められたこと。今後も続けることができること。 返事は、それぞれ三日以内に来た。 マグダから。 エリナちゃん
ルシェムに帰った翌朝、エリナはいつもより少しだけ遅く起きた。 目が覚めた時、空はすでに明るかった。 珍しいことだった。 いつもは夜明け前に目が覚める。でも今朝は、光が差し込んでから目が開いた。 しばらく、布団の中でそのままいた。 これも珍しいことだった。 起きたら、すぐに動く。それがいつものエリナだった。 でも今朝は、少しだけそのままいた。 窓の外から、ルシェムの朝の音が聞こえた。 市場へ向かう人の足音。遠くで犬が吠える声。風が木の葉を揺らす音。 帰ってきた、と思った。 昨日も思った。でも、今朝も思った。 ここが、自分の場所だ。 台所に行くと、セレーナが先にいた。 「おはよう」「おはようございます」「よく眠れた?」「はい。遅くまで眠っていました」「そう。今日くらいは、いいんじゃない?」「そうかもしれません」 薬草茶を作りながら、エリナは窓の外を見た。 冬の朝の空は、澄んでいた。 「お母さん」「うん」「昨日、ゴードンさんから聞いた話があります」「何?」「学院が、来年から衛生教育を取り入れることを検討しているそうです。石鹸の使い方、薬草薬の知識、傷の手当ての手順を、学院の教育に組み込む話が始まっている」 セレーナが少しだけ手を止めた。 「それって、どういうことになるの」「学院で教えれば、学院の生徒が卒業して各地に行く時に、その知識を持っていく。一人が届けられる場所より、ずっと広い範囲に届く」「あなたが一年でやったことが、もっと広がるということ?」「そうなるかもしれません」「お父さんが聞いたら、何と言うかしら」 エリナは少しだけ考えた。 「『私よりうまくやっている』と言うか、それとも『まだ足りない』と言うか」「この前も同じことを言ったわね」「同じこ
翌朝、エリナは早く起きた。 今日、ルシェムに帰る。 荷物を確認した。報告書の写し。確認書の写し。殿下から預かったアッシュフォード商会の正式な代表変更に関する書状の下書き。そして、セレーナへの手紙。 全部、ある。 朝食を三人で食べた。 フィオナが、珍しく朝から饒舌だった。 「昨夜の話、全部聞かせてもらうって言ったけど」「聞きますか?」「聞く。でも、今は聞かない」「なぜですか?」「あなたの顔を見れば、大体わかるから。今日は、その顔で十分」「どんな顔をしていますか?」 ゴードンが静かに言った。 「昨日フィオナが見たかった顔」 出発前に、フィオナと二人になった。 宿の前の小さな通りで、少しだけ話した。 「フィオナ、これからどうするんですか?」「王都にいる。まだやることがある。規制案はまだ継続審議のままだ。陛下が認めたとはいえ、クロヴェルが諦めたわけじゃない」「そうですね」「でも、今日は違う話をしたい」「どんな話ですか?」「あなたが帰った後のことを、少し考えた。王都に来てからの一年間、私はずっとここで動いていた。でも、いつかルシェムに行ってみたいと思っている」「ルシェムに?」「マリオとルナに、会いたい。あなたが話してくれた人たちに。あなたが動いてきた場所を、見てみたい」「来てください、必ず」「いつ行けるかはわからない。でも、行く」「待っています」 フィオナが少しだけ笑った。 「その言葉、昨夜もレインに言ったでしょう」「言いました」「同じ言葉が、自然に出てくるようになったんだね」フィオナが穏やかに言った。「前のあなたには、なかった言葉だと思う」「そうかもしれません」「いい変化だと思う」 フィオナが手を差し出した。 エリナはその手を両手で握った。
謁見が終わって、王宮を出たのは昼過ぎだった。 アルバ殿下が廊下で待っていた。 「よくやりました、エリナ殿」「ありがとうございます。殿下の準備がなければ、今日はなかった」「王都のデータは、効きましたね」 殿下が少し笑った。「右側の列が、ざわついた」「見えていました」「父上は、満足そうでした。あの顔は、久しぶりに見た。一年前に、『わくわくしている』と言いましたが、今日はそれ以上でしたよ」 エリナは少しだけ、その言葉を受け取った。 「殿下、商会の代表についてお願いがあります」「ゴードンさんから聞きました。昨夜、連絡をいただいた」「はい。正式にエリナ・アッシュフォードの名で商会を持てるよう、陛下にご確認いただけますか?」「すでに父上に話しました。年齢の問題は、特例として認めていただける方向です。正式な書類は、来週中に届きます」「ありがとうございます」「アッシュフォード商会の代表が、アッシュフォードの名前になる。当然のことですから」 王宮の外で、師匠とレインが待っていた。 師匠がエリナに言った。 「一つだけ言っておく」「はい」「今日の発言で、一番良かった部分を教えてもいいか?」「ぜひ」「クロヴェルへの返答だ」 師匠が静かに言った。「感情で返さなかった。でも、感情がないふりもしなかった」 エリナはフィオナが昨日言っていた言葉を思い出した。 「感情がないふりもしなくていい、という言葉を、昨日フィオナからもらいました」「賢い子だ、フィオナ殿は。あの返答には、あなたがいた。数字だけではなかった」「届きましたか?」「届いた。俺には届いた。他の人間にも届いたと思う」 師匠が一歩退いた。 「俺はこれで失礼する。よくやった」「先生、ありがとうございました。一年間、本当に」「礼
謁見の日の朝、エリナは四時間ほど眠った。 眠れると思っていなかったが、眠れた。 目が覚めた時、空はまだ暗かった。でも、もう眠れなかった。 起きて、顔を洗って、薬草茶を作った。 ルナが持たせてくれた葉を使った。 温かい湯呑みを両手で持って、部屋の窓から外を見た。 王都の夜明け前。 ルシェムとは違う空の色だった。でも、夜明け前が静かなのは、どこでも同じだった。 今日、謁見の間に立つ。 もう一度、確認した。 怖い。でも、届けたい。 それだけでいい。 朝食を三人で食べた。 フィオナが、珍しく静かだった。 いつもは何か言う人だが、今朝は食べながらあまり口を開かなかった。 エリナが「どうかしましたか?」と聞くと、フィオナが少し笑った。 「緊張してる」「フィオナが?」「私も人間だから。あなたが緊張するより、私が緊張してる気がする」「なぜですか?」「あなたが上手くいくかどうかを、見ている立場だから。自分が話すより、大事な人が話すのを見ている方が、緊張する」 エリナは少しだけ、その言葉を受け取った。 大事な人が話すのを見ている方が、緊張する。 「フィオナ」「何?」「今日、謁見の間に入れますか?」「入れない。謁見の場に入れるのは、名前がある人間だけ。私には、今は資格がない」「そうでしたか」「廊下で待ってる。終わったら、すぐ出てくるでしょう。その顔を見る」「どんな顔をしていると思いますか?」「わからない。でも、見たい顔をしていると思う」 謁見の前の十分間は、王宮の廊下の一角で過ごした。 フィオナ、ゴードン、エリナの三人。 廊下は石造りで、冷たかった。外の空気が、石を通して伝わってくる。 エリナは上着の内ポケットに手を当てた。 手紙が、ある。 フィオナが言った。 「今日の目標を、一つだけ確